■ News '98::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

98/09/20　大雪山のナキウサギ裁判　98/9/17報告 98/10/10　10/13諌早傍聴を！ 98/10/12　オオヒシクイ米出荷開始（TV報道） 98/10/14　諌早　10/13報告 98/10/16　奄美10/12報告 98/10/16　オオヒシクイ　10/13報告 98/10/22　生田　9/16報告他 98/10/24　ナキウサギ　9/17　籠橋弁護士の陳述内容 98/11/13　生田　10/23報告 98/11/13　オオヒシクイ米出荷状況。まだまだいけます 98/11/24　奄美、現地検証へ（11/24報告） 98/12/14　霞ヶ浦の復活作戦　湖にアサザの花畑を！ 98/12/17　オオヒシクイ12/15報告 98/12/19a　ナキウサギ11/26報告 98/12/19b　生田緑地12/7報告 98/12/19c　相模大堰12/7報告 98/12/19d　籠橋弁護士、一ツ橋大学で講演　12/19 98/12/20a　制度>自然の権利訴訟>ホームページ完成 98/12/20b　自然の権利訴訟類似訴訟発生.... 98/12/22　奄美12/21報告 98/12/25　意見陳述書　準備書面等　公開しました 98/12/26　藤前「自然の権利」訴訟、提訴へ

98/12/26　藤前「自然の権利」訴訟、提訴へ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弁護士　籠橋隆明

　12月28日午後3時30分藤前「自然の権利」訴訟を提訴します。名古屋市がほとんどギブアップというところで今なぜ裁判かという疑問もありますが、私たちが準備を始めた1年前はそういう状況ではありませんでした。ともかく、準備してしまったので出してしまおうというのが弁護団の結論です。それに、名古屋市の息の根を止めるのには多少は役立つことでしょう。
　今回の訴訟の骨格は住民訴訟という手続きで地方自治法に基づく裁判です。これは、自治体による違法な財務会計行為に対して、その行為の差し止め、不作為の違法確認、違法な財務会計上の行為をして自治体に損害を与えた職員に対する損害賠償請求を、自治体住民が実施できるという我が国では珍しく民主的な制度です。概要は次の通り。

　原告　　　：愛知県民及び名古屋市民有志
　　　　　　　※　野生生物や自然物は原告にしていません。
　被告　　　：名古屋市長及び名古屋港管理組合管理者
　請求の趣旨：公有水面埋立手続きに関する費用の差し止め。
　　　　　　　名古屋市による西一区所有権放棄の禁止。

　違法の概要：
(1)　自然生態系に配慮しないのは、ラムサール条約などの国際法規、
　　 自然環境保全法などの国内自然保護法規、名古屋市の要項に違反
　　 し、ひいては環境配慮を定めた公有水面埋立法に違反する。
(2)　公有水面埋立法は公有水面にのみ適用され、名古屋市の所有して
　　 いる土地には適用されない。
(3)　所有権放棄は自治体財産の適正管理を定めた地方自治法、地方財
　　 政法に違反する。

　本件は、相模大関訴訟、奄美「自然の権利」訴訟などから始まった「自然の権利」訴訟の一つです。野生生物や自然物を原告としていませんが、本件訴訟の解釈の基準として「自然の権利」を中核としている点で「自然の権利」訴訟です。
　自然は人間にとって価値あるものですが、その価値を私たちは理解することに限界があります。自然の資源的価値や文化的価値、学術的価値を抜き出して保護することは、特定の場合のみ自然を保護する傾向に走り、必要な保護政策が欠落する場合があります。アマミノクロウサギがいなければ自然が守られないという自然保護政策のあり方が誤っていることは誰も異存のないところでしょう。自然は全体的に保護せねばならず、そうであるならば一旦自然の価値を人間の価値から切り離して考え、自然はそれ自体保護に値するものであるという価値観を選択すべきであると思われます。そうすることによって、全体としての自然、生態系や、人間との関係も含めて生物非生物の相互関係全体を保護することが可能になると思われます。
　「自然の権利」はこうした、人間が自然の価値（正確には人間と自然との関係において生み出された価値）を知ることには限界があるという認識を前提に、私たちが侵してはならない自然の領域を画定する作業でもあります。いかなる経済的利益があろうとも悪いことはやってはいけないという単純な理屈を自然保護にも当てはめることができるようにしようというのが「自然の権利」の試みです。

　ところで、今回の訴訟では意識的に野生生物原告という表示を行いません。アマミノクロウサギ原告ということで有名になった「自然の権利」訴訟ですが、動物原告というのは重要なことではないのです。むしろ、自然を思う立場に立って、当該自然にとってなにが必要か、なにを行ってはならないかを明らかにする訴訟はすべて「自然の権利」訴訟と考えるべきであるというのが今回の弁護団の見解です。

　今回の訴訟は、「自然の権利」基金からの援助及び賛同者のカンパで運営されます。

是非ともみなさんのご協力をお願いします。なお、訴状の公表は［自然の権利］ホームページで12月28日の午前中には公表いたします。

　藤前自然の権利訴訟　訴状　　

98/12/25　意見陳述書　準備書面等　公開しました

　　奄美自然の権利訴訟の原告、中原貴久子さんが12月21日に陳述した内容と、大雪山のナキウサギ裁判で、5月に提出された、生物多様性条約に関わる言及のある準備書面を公開しました。それぞれ、中原さん、市川弁護士からご提供いただきました。
　中原さんの意見陳述→
　大雪山のナキウサギ裁判準備書面→

98/12/22　奄美12/21報告

12月21日　奄美「自然の権利」訴訟口頭弁論期日

　原被告代理人が裁判官と双方進行について協議した後に法廷が始まった。法廷では来年4月30日に検証を実施することが確定した。弁護団の方針では検証は朝９時頃から、午後４時ころまで６時間ほどかけて実施する予定。詳しい、場所、検証の方法については来年２月までには決まる予定。弁護団では、今回の検証は裁判中最も大きな山場と位置づけ、これまで築き上げてきた運動の総力を挙げて取り組む方針。
　法廷ではアマミノクロウサギこと中原貴久子さんが感動的な意見を陳述した。意見陳述書を読む→

　次回、3月2日午後1時30分ラウンドテーブル法廷。検証実施の協議並びに証人尋問実施要請を行う予定。

98/12/20b　自然の権利訴訟>類似訴訟発生....

　クリッピングニュースでチェックした情報と、です。

>>12/18 19:00 共: オジロワシを原告に提訴へ　北海道内のダム建設で　東京地裁
>>12/18 20:33 読: ダム建設ストップ、「ワシ」の出番

　全国環境保護連盟（代表、岩田薫）という団体が18日発表したところによると、北海道歌登町と猿払町の二つのダムの関連工事などで生存権が脅かされたとして現地にすむワシミミズクとオジロワシを原告に、事業主体の農水省に対し計三十五億円の損害賠償を求める訴訟を二十二日に東京地裁に起こすそうです。

　内容としては、国営かんがい排水事業として行われるはずだった、歌登町の歌登ダムと猿払町の猿払ダムのこれまでにかかった費用を「無駄になり、国に損害を与えた」として損害賠償性急したんだそうです。12月15日にこの工事が中止になったと記事にあるのは、「時のアセス」のことかな？

　....「そうです」なんて、なんでアンタが他人行儀な、と思うでしょ？　　　　　　

　だってしらないんだもん(^_^;)。

　誰か、自然の権利訴訟の主力の弁護士がいるのだろうか？　だったら耳に入っていてもよさそうなんですが。　昨日は籠橋弁護士にくっついて一橋大学まで行商に行っていたわけですが、籠橋さんもなーんにも言わなかったし。

　とにかく、情報を集めてみます。

　で、よくよく報道の文面を見ると、明らかに［自然の権利］訴訟ではないとわかるくだりが出てきました。全文を引用するわけに行かないので該当部分だけね。

>>絶滅危ぐ種のワシミミズク三羽の生存権を脅かした。
>>天然記念物のオジロワシ四羽の生存権が脅かされたなどとしている。

>>絶滅危惧（きぐ）種のワシミミズクとオジロワシのつ
>>がいが発見され、同代表は「工事で生存権を脅かされた」としている。

>>歌登ダムと猿払村
>>の猿払ダム予定地では、絶滅危惧（きぐ）種のワシミミズクとオジロワシのつ
>>がいが発見され、同代表は「工事で生存権を脅かされた」としている。

　この、「個体寄り」な動物原告のとらえ方は、これまでのところ自然の権利訴訟（と相模大堰、ナキウサギ裁判）にはないです。今後もないでしょう（断言していいのか(^_^;)？）。
　なお、読売新聞は「生態系を守る「自然権」に基づく訴訟では、天然記念物のアマミノクロウサギを原告にした裁判などがある。」と書いていますが、正確には、自然権ではないですね。自然権つーたら、天賦人権のほうでしょ。
　それから、すみませんが、全国環境保護連盟や岩田薫さんのことを寡聞にして知りません。どなたかご説明下さいます？　あるいはこの提訴に詳しく関わっている方、解説をお願いします。

....というわけで、朝日新聞記事検索をしたり弁護士諸氏に問い合わせをしたりした結果、
岩田薫さんは、軽井沢町議を務めたことのある方で、ゴルフ場問題、立木トラスト、長野新幹線、などにからんだ活動をなさっているとのこと。ただ、この裁判については、このホームページでご紹介している訴訟の主な弁護士たちは新聞報道以上のことは知らないようです。籠橋弁護士は面識はあるようですが、提訴については知らなかったようで、「本人訴訟かな？」という程度の認識。
　情報が入りましたら、またご報告します。

98/12/20a　制度>自然の権利訴訟>ホームページ完成

※自然環境フォーラムへは、当ホームページのことを、以下のように告知しました。
　ほぼ同文で、いくつかのメーリングリストにも告知しました。

　［自然の権利］のホームページを開設しました。
　自然の権利訴訟をはじめとした6つの自然保護裁判の、基礎情報と最新情報をお届けします。
　年末に提訴予定の「藤前自然の権利訴訟」については、提訴日の夜には訴状の全文UPを予定しています。
　内容に関しては、過去に遡ってFENVのログで読めるものとほぼ同一ですので、ホームページを閲覧できない方はこのままFENVでウォッチしてください。
　新規情報についても、つねにFENVへのUPと同時に行います。
URL：http://www.komazawa.com/~junko/sizennokenri/index.html
開設責任者：佐久間淳子<mgh00047@nifty.ne.jp>
　　　この、「komazawa.com」てのは、駒澤大学同窓会のサイトです。同窓生
　　　とその一親等までの方なら、無料でアドレスを持て、サーバーにホーム
　　　ページや掲示板を開設することができます。よくできたWebだとおもい
　　　ます。ちなみに私は法学部政治学科卒。

ホームページを構成するファイル（1998.12.19現在）：

　....〈中略〉....

　【口上】

　昨年末に完成にこぎつけた『報告　日本における［自然の権利］運動』は、現在約1100部が売れました。今年3月には、この本に収録した6つの訴訟の原告・担当弁護士の方々・研究者などに集まっていただいて、シンポジウムも開催できました。
　このホームページは、報告書以後の情報をお届けし、情報の空白を作らないために、［自然の権利］セミナーとして設けました。
　今秋からこのリンクでUPし始めました期日情報等を、インターネット展開したもの、とお考え下さい。いまさっき検索エンジンへの登録作業をしましたので、遅くとも来月中にはインターネット検索できるようになると思います。
　ホームページ開設の狙いは、実はここにありました。現状では、インターネット上で検索してもほとんど皆無です。各関連運動体のサイトも、［自然の権利］「裁判」といったキーワードでは引っかかってこないんです。まずいことになにやら「動物の権利」の一展開だと誤解した紹介ページが存在するくらいです(00;)。これじゃイカんわけです。
　というわけで、「一見さん」というか、これまで［自然の権利］がらみの情報にアクセスできなかった人々にも窓口を作ったわけです。報告書の売れ方からして、だいたい必要な人には行き渡ったと考えています。あとは、たまたま籠橋弁護士の講演を聴いて買ってみようと思ったというような、「ちょっとした縁」の人に丁寧に対応していけばいいかと思っています。
　NIFTY-Serve外への発信を、当初はメールでやるかナと思ったんですが、追加宛名の管理ができるほどこまめにはできないナと、やめました。メーリングリストでの受信が可能なら、ホームページでもいいんだもんねえ。最新情報については、なによりもマスコミの方々にご活用願いたくて、気合い入れてます。注文付けて下さるの歓迎です。
　実は11月下旬には、関係者に内覧を開始したんですが、なにしろ弁護士の皆さんが、各訴訟の紹介文のチェックを後回しにしてくれちゃって(00;)、それが済まないことには公開できなかったということです。まあ、その間にいろいろ勉強しながら、そこそこの見やすさを実現できたと思ってます。

　口うるさい我が知恵袋のみなさま、ありがとうございましたm(_ _)m。

　そんなこんなのホームページです。
　よろしくご活用下さい。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　島の娘

98/12/19d　籠橋弁護士、一ツ橋大学（東京・国立）で講演　12/19

　※ホームページへのUPは事後報告となりました。今後は事前告知を目指します。
公開講座
「社会科学は環境問題にどうこたえるか」

日時：1998年12月19日（土）　　　13:30〜17:00
講演：籠橋隆明
パネルディスカッション：
　　阿部治（埼玉大学研究指導センター）　　長谷川公一（東北大学文学部）
　　植田豊弘（京都大学経済学研究科）　　　淡路剛久（立教大学法学部）

　司会：寺西俊一（一橋大学　環境経済学）　

　※1時間強の講演だったので、早口でひとまとめにまとめた感じでしたが、後半の質疑応答の部分は、このホームページの総論（souron.html）に「Ｑ＆Ａ」のかたちで反映させました。

98/12/19c　相模大堰12/7報告

　金尾憲一さんの報告は、NIFTY-Serve自然環境フォーラム（FENV）の以下の発言にあります。

　　nifty:FENV/MES/11/224

>>224/*** VER00204 金尾憲一　開発>相模大堰>124　3th自然権訴訟の日１
>>(11) 98/12/13 23:12 022へのコメント

　よろしくご参照下さい。
　相模大堰建設差し止め訴訟のホームページでも読めます。

98/12/19b　生田緑地12/7報告

　生田緑地・里山・自然の権利訴訟
　　12月7日（金）　13:10〜　　横浜地裁仮庁舎

　関口佳織弁護士のレポートを編集して紹介します。

　1:10と指定されていたのだが、同時刻に他に2件指定されていたため、実際に我々が着席したのは1:30だった。せっかく走って行ったのに(;_;)。

■いよいよ証人尋問が決まったぞ
　前回、裁判所は、原被告に対し、「事実関係についての争点を洗い出し、その争点に対する証人の適否、必要性等を検討してほしい」との宿題をだしました。
　そのため、原被告それぞれ事前に書面を提出していました。

　原告は被告川崎市長及び美術館準備室長の北条氏を証人として申請、被告は北条氏及び市建築局の亀井氏を申請していましたが、被告は今回の書面で北条氏については法廷での証言に代わる陳述書で立証は足りるとしたため、裁判所は原告に対し、北条氏の証言の必要性を改めて書面にて提出するよう求め、北条氏の採用は留保しました。
　裁判所は本件の事実上の争点を、美術館建設事業の中の屋外付帯工事であるとの認識を示し、その点については亀岡氏に聞きたいということで、亀岡氏を証人として採用することとしました。

　次回、2月17日の2時〜3時が被告側の主尋問、
　　　　4月14日の10時半〜12時までが原告側の反対尋問となるので、　　　
　　　　多数の方の傍聴をお待ちしております。

関口弁護士の一口解説　　：「陳述書」について

　民事裁判の立証方法としては、法廷での証人の証言、書証（文書による証明）、検証（実際に見たり聞いたりする）などがあるのですが、証人尋問は時間がかかるので、あらかじめ証人が法廷で言おうとしていることをまとめて「陳述書」として提出させて、法廷ではそれをもとに証言させる（あるいは、証人尋問に替えさせる）といったことがよく行われています。
　ご存じのとおり、日本の裁判では「口頭主義」がとられているにもかかわらず、実際は「書面偏重主義」ですから、裁判官によっては「陳述書」を非常に重視します。
　「陳述書」は、反対尋問や裁判官からの補充尋問がなく、信頼性を確認できないといった重大な欠点があるため、証人尋問に代替するものではないのですが。

98/12/19a　ナキウサギ11/26報告

　大雪山のナキウサギ裁判
　　11月26日（木）　13:10〜13:30　札幌地裁

　市川守弘弁護士からメールでいただいたレポートを編集して紹介します。

「採食地」って「生息地」？

　道側が違法性論についての反論をしました。この中で、トンネル出入口予定地が、ナキウサギの食痕跡が多数発見されていることを、「採食地」と表現し、「ナキウサギがまれに徘徊、採食する」と書かれていたので、私が口頭で「採食地」は生息地のことか、と釈明を求めました。これには２年前、道の環境課長が、その場所がナキウサギ生息地であれば工事（当時は法面工事がやられそうだったのでそれを阻止したときの話です）はできないと明言したことが、伏線としてありました。
　道側は、この釈明に、「採食地です」としか応えなかったので、さらに「生息地は、科学的に明確な概念だが、採食地という造語は意味不明だから生息地かどうかを明らかにしろ」と言ったところ、答えができず、次回までに答えると言うことになりました。

今後のポイントは「時のアセス」

　前回（9/12）はさらに、菅野庄一弁護士が公共事業論について意見陳述もしました。八木団長が道が約束していた時のアセスの報告がないことを指摘し、進んで報告するように求めたところ、裁判所も「時のアセス」に関心があることを発言し、今後の道の対応が注目されます。
　「時のアセス」については、来年3月下旬にも判断が下ると見られ、それとのかねあいがでてきます。もし、士幌高原道路の工事が取りやめという判断が出れば、この裁判は勝ったも同然でシャンシャンと取り下げられます。が、そううまくいくかどうかが、悩ましい。「ほかの公共工事は、やめたわけですから、高原道路くらいやらせてもらいましょう」みたいな政治的取引が行われてしまうと、アセスもクソもないわけです。

　市川弁護士によると、道が昨年行ったこの調査結果は、なかなか「いい味」出してるものらしいです(^_^;)。市川さんも現地に50回は通っていて、研究者の川道武男さんの指導で調査を重ねているとのこと。弁護団としてはどこをどうつつこうか、ワクワクしているんだって。

98/12/17　オオヒシクイ12/15報告

　前回10月13日の報告は、nifty:FENV/MES/08/843にあります。

　裁判所から被告に対して、「宿題」が出されていたのでした。さて、宿題は提出されたのか。その内容は？　関口弁護士のレポートを編集してご紹介します。

　裁判所の宿題、「引舟地区を鳥獣保護区に設定しないのは、圏央道計画があるからなの？」に対する被告の回答は以下のとおり。

１　引舟地区については、「オオヒシクイが、集団的かつ継続的に採餌地、ね
　　ぐら、休息地として利用している事実を確認しておらず、すくなくとも現
　　時点においては、鳥獣保護区を設定する必要がないものと判断していると
　　ころであり、圏央道通過計画との関係において鳥獣保護区の設定を行って
　　（関口注：「怠って」じゃないの？）きているものではない。」

２　今後、「オオヒシクイが利用する等生息状況に変化があった場合」には、
　　保護策について検討していきたい。　

だそうです。

　次いで、裁判所は、当事者尋問を考えていることを言明。「当事者」というのは原告及び被告のことを指しますので、原告の飯島氏及び城土井氏の尋問はいいとして、被告については橋本知事を尋問することになるのでしょうか？　

　次回は進行について打ち合わせをする期日としました。
　2月16日（火）10時15分〜11時です。

　おお、翌日は生田の証人尋問の日です！　生田とオオヒシクイの弁護団はほぼおなじ顔ぶれ。密度濃いですね。

98/12/14　霞ヶ浦の復活作戦　湖にアサザの花畑を！（TV朝日12/20）

　12月20日夕方6時30分〜7時に、テレビ朝日系の「素敵な宇宙船地球号」で霞ヶ浦の話題が放送されます。
　アサザは、黄色い花を咲かせる、ミツガシワ科（元はリンドウ科に分類されていた）の、スイレンに似た水草です。浅い水辺に生えるものですが、護岸工事によってどんどん霞ヶ浦の湖岸が消えていったために、大群落はほとんどなくなってしまいました。
　そのアサザの大群落を復活させようと、周辺の市民が参加して進めているのが「アサザプロジェクト」その様子を紹介します。このアサザプロジェクトは、ヒシクイ保護基金の飯島さんが深く関わっています。製作は（株）群像舎。

98/11/24　奄美、現地検証へ（11/24報告）

　奄美自然の権利訴訟で、ゴルフ場開発予定地の検証を行うことが決まりました。
　共同通信のニュースでは、「年明けにも行われる模様」と報じられていますが、弁護団によると、まだ日程の打ち合わせはしておらず、4月中旬になるだろう、とのことです。その季節を逃すと、梅雨に入るしハブは心配だし、ということのようです。そうなると、来秋まで伸びる可能性もあります。
　4月中旬といえば、諌早干潟のギロチンが降ろされてからまる2年。諌早のほうもイベントがひしめいている時期ですね。
　現地は岩崎産業の所有地ですから、どこまで入れるのか。また、薮が濃くなっているので、検証に先立って草払い等が必要とのことです。もともと牧場だったところが放置されているところです。

　弁護団のコメントが、「実質審理に入ったかどうかはまだ分からないが、検証を採用したのは驚きだ。原告適格の判断で切られずに済み、大きな前進だ」と、報じられています。ただ、「検証があったということは、原告適格でパスした」という意味ではないそうです。原告適格（もちろん人間サマの）も、いまだ状況は厳しいとのこと。

　とにもかくにも、このリンクでお知らせしている自然保護訴訟のうち、検証が実現（予定を含む）したのは、ナキウサギ、オオヒシクイ、奄美の3つとなりました。オオヒシクイの代理人、坂元雅行弁護士は、「自然保護訴訟では、現地検証が常識である、という状況にしていきたい」と、今年2月のオオヒシクイ現地検証で述べていました。

　奄美....行っちゃおうかな。（nifty:FENV/MES/08/937）

98/11/13　オオヒシクイ米出荷状況。まだまだいけます(^_^)

オオヒシクイ米は、今年は2000口くらいいけそうだ、とのことです。

　まだまだ余裕があるそうですから、どうぞご注文下さい。とのこと。

　昨年が約2.5haでの田んぼからオオヒシクイ米を作り、約550口（約3トン）出荷しました。今年は約10haに増やせたそうです。11月下旬段階で、1350口、約7トンの出荷が見えてきました。周辺農家も刺激されたのか、越冬地内の荒起こしをする農家が減ってきたそうです。
　「2万口まで増えれば、行政も無視できないだろう」と、飯島さんも(^_-)。

　ヒシクイ保護基金では、越冬地になっている水田地帯の休耕田の管理を今年度から始めたそうです。
　オオヒシクイがやってくる江戸崎町の田んぼはもともと沼だったところを干拓して田んぼにしました。だから、場所によってぬかるみがひどく、そういうところが休耕田になっているし、減反減反で放棄されたままの田んぼもあります。こういうところは次第にアシやガマ、セイタカアワダチソウが生えてきますが、こういった植物で見通しが利かない状態は、神経質なオオヒシクイたちが好みませんので、越冬地を放棄しかねません。そのため、休耕田の荒廃をくい止めよう、というわけです。
　オオヒシクイ米の収益とトヨタ財団の助成金を元にして、アシなどを刈り取り、機械を使って耕耘し、アシの地下茎を取り除く、という作業です。市民参加で行われ、今年は約1haの休耕田を対象にしたそうです。なにしろ「ドロ田」なので、耕耘するといっても、専用の重機を尋ね当てての作業立ったようです。
　この野生生物保護のための休耕田管理プログラムは、雁以外にシギ・チドリ類、サギ、トンボなどの生息地としての配慮も含んでいます。なかなか面白そう。（nifty:FENV/MES/08/930）

98/11/13　生田10/23報告

　関口弁護士にいただいたメモを元に、まとめました。

　10/23　午後4時開廷。場所は横浜地裁2階201号法廷（ラウンドテーブル）。

ラウンドテーブル法廷とは
　普通の法廷のように裁判官が一段高いところに座るのではなく、円卓（楕円だけど）になっている。生田では証拠として提出したビデオを見たり、図面を広げる必要があるときなどこの法廷が指定されている。
　今回は、まもなく証人尋問にはいるため、争点整理手続をすることから、当事者間及び裁判官を交えての議論がしやすいように指定された。
　今回はラウンドテーブルということで傍聴席が少なく、後から来た人などは傍聴できない人がいたかもしれません。

争点整理手続とは、

　本件の中心争点は「本件美術館建設事業についてのアセスメントの要否」であるが、アセスメント条例及び都市計画法の解釈や事実の評価が大きな問題となっています。原告側は、「美術館を作るために工事専用道路（取付道路）を作る（作った）のだから、その道路の面積についてもアセスの対象にしろ！」と主張するわけですが、被告側（川崎市）は、「いーのいーの。工事が終われば元に戻すんだから(^_^)、ここはカウントしなくていーの(^o^)」と構えています。なにしろ、取付道路の面積を開発面積と取るかどうかで、アセスメントの対象になるかどうかがひっくり返る、というような、工事面積なんですねえ（取付道路分を入れなければ、アセスメントの必要なし、ということになる）。こんなふうな、認識のズレを裁判所が確認したいと希望した、ということです。
　具体的には、被告が敷地以外の部分は都市計画法の「開発区域」にあたらないと主張しているため、現在、敷地以外の部分について実際に行われている工事の内容について確認がなされました。
　次回からは証人尋問・・・と思いきや、裁判所は原被告に対し、「事実関係についての争点を洗い出し、その争点に対する証人の適否、必要性等を検討してほしい」とのこと。

　次回に、証人の採用について決まる予定。

　工事の進行具合については、裁判所も気をつかっていて、期日は月に一度、しかも次々回の期日まであらかじめ指定していたのですが、証人尋問前の主張整理にずいぶん手間取り証人尋問が来年にずれこむ公算が大きくなり、美術館完成前に判決を出すことは難しくなったと判断したのか、ちょっと進行が悠長になってきたという感じもあります。（nifty:FENV/MES/08/931）

98/10/24　ナキウサギ9/17　籠橋弁護士の意見陳述内容

　9月17日、大雪山のナキウサギ裁判において、籠橋隆明弁護士が意見陳述した内容です。

９月１７日のE73;7^訴訟で私が意見陳述をいたしました。

　本件では全国各地の弁護士が代理人として参加しております。全国各地で同じような自然保護訴訟が展開されており、本件がけっして他人ごとではないとみな感じている次第です。私自身も諫早干拓事業の差し止め訴訟を担当しておりますし、本日この法廷に臨んでいる弁護士もそれぞれ自然保護訴訟を担当しております。国や自治体の進める公共事業がわが国に残された貴重な自然を破壊していくのですが、どれも共通した要素があります。それは、公共公示を行うだけの合理が見いだされないこと、自然保護のための適正な手続きがかけることの２点です。私たちがこのナキウサギ訴訟を重視するのはこうした公共事業に関する典型的な例を見ることができるからです。
　ところで、諫早干潟の埋立といった全国的に有名になったケースだけが自然破壊ではありません。日本の多くの河川や、海岸が整備され、コンクリートで固められています。農薬や圃場整備のために水田から野生生物が姿を消しています。メダカやフジバカマと言ったなじみ深いと信じられている野生生物が絶滅の危機にあると聞くとき、私達は私達が直面している危機の深刻さを感じないわけにはまいりません。
　こうした、野生生物の危機、生物の多様性の危機にあって、私達には自然について新しい考え方が求められています。いまや何もしないで放置されるままで自然は守ることができない時代となりました。都市の美しい公園が公共施設として公共性を持つように、自然も公共的存在として認知されなければなりません。世界自然保護憲章、本件でテーマとなっている生物多様性条約及び国際的な自然保護法ははこの理を認めています。また、人間と自然の有りようからすれば、自然は一旦人間の利益とは切り離し、それ自体価値あるものとして位置づけ、公共的存在として保護がはかられなければなりません。自然の公共性に対する位置づけは憲法を始めとした日本の法は余りに無関心でした。それは私達法律家の怠慢でもあります。そして、自然の公共性は自然を愛し、研究する者、ＮＧＯによって代弁され、保護の機会が与えられるべきです。自然のためのデュープロセスのあり方が問われています。
　このナキウサギ訴訟が全国的テーマであるのも、私達がこうしてこの法廷に臨んでいる理由も、自然のための新しい法的価値がここに生まれるものと確信しているからであります。裁判所にはこの訴訟の意義を是非ともご理解いただき御審理していただきますようお願いいたします。（籠橋隆明　nifty:FENV/MES/09/822）

98/10/22　生田9/16報告他

「生田緑地の自然を守る会ニュース」No.35　1998.10.12
　　から抜粋編集しました。

=====

　アセス条例違反の補充弁論をしました。宮前区に1996年に出された「宅地造成開発行為許可申請図」を証拠として提出。市が岡本美術館建設では「現況復旧するから開発区域にはならない」と行っている内容と同じ現況復旧する造成協力地が、市の指導の下、開発区域として許可申請されているものです。民間に厳しく、身内には甘い川崎市の体質がここにもありました。

　被告及び原告による承認申請。双方とも、北条氏（岡本美術館建設準備室長）を申請。　原告より出された準備書面について、作成した関口弁護士が内容説明。

　アセス違反に関する主張の補充を目的としたもので、
　（1）都市計画法の「開発行為」の意義について。
　（2）アセス条例上の「開発行為」について。

　丁寧にやっていたら、裁判長から「巻き」が入ったそうです。

　明日23日（金）は、弁論期日。
　争点整理のため、工事状況の現状確認作業です。前々回のビデオ検証の時と同じラウンドテーブルで行います。裁判終了後は労働プラザで報告集会を行います。
　今後の活動予定：
　11/8 （日）11:00〜14:00　バザー
　　　　　　　13:00〜　ワークショップ（雨天中止）　　　生田緑地
　12/6 （日）生田緑地でリースを作ろう
　12/19 （土）生田緑地・岡本美術館建設問題」裁判報告集会
　　　　　　　　　於/多摩市民館　　　　　　　（佐久間　nifty:FENV/MES/08/865）

98/10/16　オオヒシクイ自然の権利訴訟　10/13報告

　以下は、朝倉淳也弁護士に電話で伺い、まとめたものを関口佳織弁護士にメールでチェックしていただいてまとめました。

　13日の弁論は、10分足らずで終了したそうです。（民事では、「公判」ではなく「弁論」というそうです。勉強になりますねぇ）
　なんでか(^_^;)。
　裁判所が被告側に対して「文書を持って回答せい」と前回宿題を出していたのですが、その宿題の出来が悪かった（不十分ということ）。これじゃあ先へ進めないね、というので、「もう一回（補充せよ）(00;)」ということになったそうです。
　で、#719に「この日は、争点整理。そのつぎの期日には、証人尋問の予定。」とメモしましたが、被告が準備書面を提出しているので、争点整理の手続だけではない。したがって、普通の弁論だ、とのことです。また、まだ証人申請をしていないので、次回尋問はありません。勉強になりますねぇ。
　次回（12/19）は被告が裁判所の釈明に答えた書面を提出する弁論期日です。原告が証人申請をするかどうかは未定。
　被告側はこれまで事実に関する主張をほとんどせず、裁判所がやんわりと「主張はないんですか？」と聞いても全く答えるそぶりがなかったので、前回、とうとう裁判所はキレました。
（1）県知事が鳥獣保護法8条の8の鳥獣保護区設定権限に従って行った措置及びその他のオオヒシクイ保護に関する措置を述べよ。
（2）鳥獣保護区に設定されていない引舟地区・霞ヶ浦湖心について、鳥獣保護区に設定しない理由を具体的に述べよ。
　　　　※以上2項目は、関口弁護士の法廷でのメモと実際に提出された被告
　　　　　の準備書面に基づくもの。裁判所が被告に渡した書面の転写ではない。
　と釈明し、しかも「書面で提出するように」と指示、ご丁寧に前記2項目を書面で渡すといった事態にあいなり、さすがの被告も書面を出さざるを得なくなったわけです。
　んが、その書面を見てみれば、問題の「なぜ引舟を鳥獣保護区に設定しないか」ということについては、「引舟にはヒシクイが飛来している事実は確認されていないから」とあるだけ。
　そこで、裁判所は今回、さらに釈明。（それにしても裁判用語は独特だなあ、「釈明」つうのは、一般社会では言い訳のことなのに、ここでは裁判所が被告に命令していることを指している）

「ヒシクイ保護に関する被告の取り組みにおいて、引舟地区内の圏央道通過計画はどのように捉えられているか」書面で答えなさい、とさらに突っ込んだ主張を求めたわけです。

　これこそ、原告の一番聞きたいこと(^^)。次回が楽しみです。

　次回は、12月15日（火）　午後2時から。水戸地裁3F

　おまけ*(^。^)*

　関口弁護士談：
　ちなみに何度行っても水戸地裁の場所が覚えられない私(^^;は、13時45分水戸駅着のフレッシュひたち（なんつーネーミングじゃ(00;）で行ったにもかかわらず2分遅刻。この日の法廷が14時に始まらなかったのはみんなが私の到着を待ってたからなのだ(^^;;;;。

　しかしまあ、東京から延々水戸まで行って、10分もかからない用事をするというのも、大変なことですなあ。関口さんは、弁護士になって2カ月目には、この［自然の権利］訴訟に誘われて、そのままどっぷり、という方です。今後が楽しみ（なにが？）（佐久間　nifty:FENV/MES/08/843）

98/10/16　奄美10/12報告

籠橋隆明弁護士からの報告を編集転載します。
この日は、原告側は団体の原告適格について主張しました。

　自然保護を目的として、現実に誠実な活動をしているのであれば原告適格は認められるべきであるとの主張です。環境ＮＧＯに法的価値を認めるならば原告適格も認めるれてしかるべきであるというのが大ざっぱなところ。実際にはかなり緻密な主張を行っているそうです。

　原告側は、原被告双方主張を尽くしたとして、証人尋問を裁判所に要請しました。
次回11月24日午前11時、内容は進行の打合せをするため、非公開。
　ただしイベントは実施される予定。（［自然の権利］基金かごしま等が　中心になって、毎回期日にはイベントを開催しています。）
次次回、12月21日午後4時は弁論期日。公開。

おまけ(^_^)：
奄美の人々は、前日夜奄美大島の名瀬港を出るフェリーで出かけ、翌日朝鹿児島市入り、その日の夕方のフェリーにのって、翌日早朝奄美に戻る、というスケジュールです。2等で片道7080円。裁判て、お金がかかるんですね。（佐久間　nifty:FENV/MES/08/842）

98/10/14　諌早湾自然の権利訴訟　10/13報告

　ムツゴロウ原告／原田敬一郎さんのレポートを編集転載します。

=====ここから

　10月13日の諫早湾自然の権利訴訟第10回公判はおかげさまで大成功のうちに終わりました。
　13時半の開廷に12時頃より列が出来始め、13時の締め切りまでには80人余りになり、整理券発行後すぐ抽選が行われました。
　長崎市民ネットワーク、青い地球を守る会、などの皆さんの「傍聴券獲得ボランティア」のおかげで、ほぼ全員が傍聴できました。

いろんな人にお世話になりました。ありがとう。

　国側は前回と同じくらいの人数でしたが、偉いさんを並ばせるわけにはいかないからかアルバイトを雇っていたようです。

国側の傍聴者かどうか身なりだけでは判断が難しく、裁判がよくわかる予備知識と称するチラシをあからさまに「原告の支援者ですか、国側ですか」と一人一人大きな声で訪ねながら配ったら、「国側です」と声に出す人はさすがにいなくて、手や頭を横に振って答えます。その中には、裁判自体に興味を持ってきた原告側でも被告側でもない人たちもいるので、支援者の誰もが知らない人やネクタイが即国側とも言えず次回からはムツゴロウの踏み絵を踏ませようかと思います。

　国側は今回も12人の弁護人を並べて威圧的で、なまこのように私情を出さず仕事中の顔して並んでいました。

　今となっては法廷にいる人間全てにとって大切な問題を扱ってる裁判なんだから国側弁護人の中にはできれば原告側に行きたいと思っている人もいるかもしれない、「こっちに来て楽になりなよ」と思って見ていた。

　裁判が始まると意外な展開が待っていた。

　我らが弁護人龍田紘一朗は、生越先生の証言により、防災どころか潮受堤防がいかに危険で諫早湾周辺に住む原告たちがこの干拓事業によって危険を被ることになることや、事業に対する国の取り組み方や主張がいかにいい加減かをたくさんの事例を挙げて裏付けさせ、原告の主張の正当性を裁判所に印象づけようと考えていた。

　その為には地質学や地震には素人の裁判官にも分かるように用語や単位や図表などはいちいち生越先生に質問をして説明をさせなければならない。証言させたいことが2時間半では終わらないと判断した龍田は、その時点で生越証人の証人尋問を次回にまで引き延ばすことを考えていた。それを聞いた私たちは動揺した。干拓事務所長の証人尋問や今回の原告側証人の尋問が裁判所に認められる事さえ異例な事で、「10人の原告側証人は多すぎるさっさと審議へ進むべきだ」と要求する国側を受けて、裁判所も「3人ぐらいに証人は減らせないか」と前回言われていたのでとても生越先生の証人尋問の引き延ばしは受け入れられないだろうと思った。

　ところが何と国側が「証人への質問内容を前もって提出してもらえることになっていたのですが届いていないので反対尋問は次回にしたい」と言い出したのだ。龍田はそれに乗じて「原告側も本日では尋問を終えられそうにないので引き続き次回も尋問を行いたい」と申請し了承された。私と山下と籠橋は思わず下向いて笑ってしまった。

　休憩を挟み2時間半、生越先生は立ったまましゃべり続けた。龍田もわざとらしいほどに国の地盤調査や地盤改良工事のずさんさ、それによる潮受堤防の危険性、中間報告書のでたらめぶりを生越先生に質問して言わせて強調した。生越先生も自分で言い過ぎたかなと言うぐらいに「資料を出せと言えば『そんなものない』と言い、やっと出してきたかと思えば、データーを改ざんしている、国や開発事業者の言うことはみんな嘘だと思っていい」などと質問に答える形で発言し痛快だった。
　傍聴人にも、国側弁護士にも、裁判官まで時には眠っていたけど、龍田がうまい具合に細かく質問して、みんなに分かりやすいように運んでくれたので傍聴者も面白かったという人が多かった。

トピックスを挙げれば、

　1．建設中の潮受堤防が今の耐震設計を満足しておらず、建築基準法違反の建造物であることが判明。
　2．超軟弱地盤にもかかわらず、十分な地質調査をせず地盤改良工事をやっている。
　3．やや固めの地盤の下にまた超軟弱地盤があり、それをサンドコンパクション工法という地盤改良法でやっているのが関西空港と全く同関西空港は事業主の言った許容沈下量をはるかに越えるスピードと沈下量で沈み続けている。
　4．中海や児島湾の干拓地での地震のデーターから干拓地では震度が1以上上がり被害も大きくなる
　5．諫早湾を含む有明海は震度6以上の地震がいつ発生してもおかしくない地域に挙げられており、長崎県防災計画書でも島原震度7、諫早は震度6を想定した防災計画をたてている。

　それから、これは次回も多分出さないと思うけど「潮受堤防を道路にするのは極めて危険である」ということ。これは逆にどんどん道路化をあおって、積載オーバーの大型車なんかにどんどん走ってもらって堤防を沈めるという作戦の方がストレスが少なく、勝負が早い。通行中にドーンと沈めば犠牲者も出るだろうからボランティアの弁護士に損害賠償の裁判を国や、県相手にやって稼いでもらえるように原告が犠牲者を訪ねて営業をして周りリベートをもらいそれを裁判資金にすることもできる。
　2泊3日の間、生越先生とたっぷりお話をする機会があり、感じたのだが、高齢とはいえ地質学を無視した不等な開発や嘘つき行政や胡麻すり官僚やそれを支える御用学者を許さないその姿勢には驚かされる。
　先生の話の中で皆さんにもお伝えしておきたいのは「地盤の弱いところに川や谷ができる。だからダムも廃棄物処分場も干拓地もみんな地盤の悪いところに建てることになるので事業主はデーターを隠したり、改ざんせざるをえなくなる。地質学から見れば事業主側のどこを突けば弱いか良く分かる。」ということ。ぜひ生越先生を呼んで地元のたくさんの人と話を聞いてみて下さい。旅費と宿泊費とわずかなお礼で都合のつくときなら来て下さるでしょう。山下弘文は生越先生とも付き合いが古いので山下弘文に口利きをしてもらうのも良いと思います。
　セイクレッドランからずっとふとんで寝てないので、久しぶりにプレステでグラツーして寝るかぁ。（ムツゴロウ原告　原田敬一郎）

【関連記事】
西日本新聞長崎版　10月14日

　　ムツゴロウ訴訟第十回口頭弁論
　　諫早湾干拓潮受堤防の設計
　　「古い耐震基準を使用」
　　生越元教授が証言

　次回は、1999年1月19日（火）　午後1時30分〜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（nifty:FENV/MES/0/830）

98/10/12　オオヒシクイ米出荷開始（TV報道）　

オオヒシクイ自然の権利訴訟をやっているグループが作った地元米ブランド、「オオヒシクイ米」の出荷が始まりました。
　昨日夕方6時からの日本テレビ系のNEWｓが報じていました。

　途中、ヒシクイ保護基金の飯島博さんも袋運びに加わっているシーンが流れました。

　ヒシクイ保護基金では、97年度から、ヒシクイが越冬するために欠かせないエサ場である田んぼを守るためにオオヒシクイ保護に協力してくれる農家とともに「オオヒシクイ米」ブランドをスタートさせました。エサ場の田んぼは、極力農薬散布を行わず、冬場に荒起こしをしないことで、オオヒシクイに餌（落ち穂や田の草）を提供できるというわけ。
　....てことは、オオヒシクイが落としていった糞は、お米の肥料になる、ってことか？　いずれにしろ、農家もいっしょになって、オオヒシクイの名を広めようとやっているものです。減反なんかしたら、オオヒシクイのエサ場も無くなるということですからね。
　茶色い紙の袋（クラフト紙？）に、黒インクで「オオヒシクイ米」と大書し、オオヒシクイの姿も。左下に小窓が開いていて、透明樹脂フィルム越しに中身が見えてます。

　申し込みは、1998年12月12日現在継続中！　ぜひ味見を。

　詳細は、ヒシクイ保護基金まで。

　ちなみに、夏にもらったニュースレターによれば、お米発送用の宛名書き（宅配便のシートに宛名を書くというもの。50枚を目安にしてた）、というボランティアを募集してました。告知しそこなってもうしわけなかったのですが、そんなボランティアも、あることはあります。（nifty:FENV/MES/08/795）

98/10/10　10/13諌早傍聴を！

諫早湾自然の権利訴訟　原告団代表原田敬一郎さんからメールがとどきました。

　来週火曜（13日）の裁判は、生越忠（おごせすなお）さんが原告側の証人として尋問に臨みます。11日には生越さんを講師に招いた勉強会もあります。

生越忠：地質学者。元和光大教授（退官）。生越さんは、神戸の人工島計画に「活断層の上にあり、大地震で地盤が液状化するなど大きな被害が出る」と反対した「予言」が阪神大震災で当たり。現在、全国の原発やゴルフ場、ダムに反対する18の訴訟に参加している。（97.05朝日新聞より）

　傍聴は、希望者が多く抽選になる模様。

　　　＊＊長崎近郊に在住の方は、抽選要員というボランティアも歓迎です＊＊

10月13日、午後12時半までに長崎地裁前に行き、行列に参加して整理券をもらって下さい。
　抽選の行列に参加して、もし当選したら、原告側が傍聴させたいと思っている人に、傍聴券を譲るというものです。もちろん、数が足りてその必要がない場合にはご自身で傍聴していただき、FENVへレポートを！
　地元支局の司法担当の方は忘れずに傍聴を。全国に向けて配信して下さいね（これがまた、大阪本社止まりで、名古屋・東京まで届かないことがあるんですが(^_^;)）

===原田メール、ここから転載（編集してあります）

　第十回公判　日時10月13日　13時半〜16時
　　　 長崎地方裁判所

　傍聴に来て！

　裁判所からの通知で、国側の傍聴希望者が多くて整理券を発行して抽選になるだろうとのこと。整理券発行は12時半。今回の生越先生の証言を出来るだけ外に出さない為に、国側で傍聴席を埋めてしまうつもりなのかもしれない。

　今度の裁判の内容

　　干拓事務所長の証人尋問に次ぐ快挙
　　裁判所が私たち原告側の主張を裏付ける学者の尋問を認めた

今回は、地震学者で地質や地盤の問題が原因になって起こる公害や災害についての第一人者である生越忠（おごせすなお）氏を証人尋問する。潮受堤防が防災どころか諫早湾沿岸に住む者たちにとっていかに危険な存在であるかを過去の災害のデーターを基に科学的に立証する。国側がうろたえて一般市民の傍聴を妨害しようとしているところからも本件干拓事業の目的に取って付けた防災効果を生越先生に暴かれる国側の困惑ぶりがうかがえる。

　オープン勉強会 日時　10月11日午後6時より
　　　　　場所　高城会館　諫早市　　TEL　24−1500
　　　　　講師　生越　忠
　　　　　資料代　500円

　より良い諫早のふるさとづくりを真面目に考えている人なら誰でも参加できます。
　生越先生の話を聞くと諫早小学校に子供や孫を通わせるのが恐くなりますよ。

===ここまで

　あいにく私は仕事の予定が入ってしまっています。
　だれか様子を聞かせてくれ〜　　（佐久間　nifty:FENV/MES/08/785）

98/09/20　大雪山のナキウサギ裁判　98/9/17報告

　現況：違法性についての主張は今の時点の内容としては完了。

　生物多様性条約を柱において、第一の、この条約の条文、目的から、様々に違反すること、条約に枠付けられる、文化財保護法、環境基本法、自然公園法に具体的に違反すること、を論じています。

　1998.09.18　しんぶん赤旗
　タイトル：大雪山の自然は高い公共性
　　　　　　札幌地裁　ナキウサギ裁判
　　　　　　全国から20人集う、弁護団が陳述

　内容：環境法律家連盟や日弁連の行事（日弁連の第41回人権擁護大会。公共事業の分科会あり）にあわせて札幌入りした20人を超える弁護団が参加した。■籠橋隆明弁護士のコメントを長々と引用。同氏を「諌早自然の権利訴訟にも関わっている〜」と紹介している！ また、市川守弘弁護士は、道が行った風穴現象についてのボーリング調査の欠陥について指摘。

　［感想］個人的には、ナキウサギ裁判の記事がわりとコンスタントに赤旗に載ることに注目してます。それから、ナキウサギ裁判の記事中に、自然の権利訴訟のことが言及されている点も今回注目しました。『しんぶん赤旗』は、1995年に［自然の権利］訴訟が初めて提訴されたときに、学芸欄で「これは突き詰めていくと犬公方になる」という意味合いの、哲学者の論文を掲載して以来、どうも［自然の権利］という言葉に承伏しかねる、という雰囲気でした。籠橋弁護士も、「僕のところに取材に来る記者も、絶対に［自然の権利］という言葉を使わないねえ（笑）」とこぼしてました。んが、そうはいっても、諌早の問題を精力的に報道してくれたり、山下弘文さんのゴールドマン賞受賞は、一面で報道していました。佐久間のことも、『報告　日本における［自然の権利］運動』の編集代表ということで、人欄で取り上げてくれたりもしています。一面に山下さんの記事、四面に佐久間の記事と同じ日に掲載されたのには、たまげました。ありがたいことです。言葉としての［自然の権利］にはやはり拒否反応も多いですが、それぞれの活動の内容や考え方まで踏み込んでもらえると、また、理解のされ方がかわるなあ、と思います。（佐久間　nifty:FENV/MES/08/726）

■トップページ（index.html）
┃
┣［自然の権利］、自然の権利訴訟って、なに？（souron.html）
┣各訴訟の概要と連絡先（soshou.html）
┃　┃　　　　　　　　　　　　┣関連ホームページへ→
┃　┃　　　　　　　　　　　　┗期日一覧（裁判日程）の当該欄へ→
┃　┗裁判書類
┃　　　奄美....中原貴久子陳述書。（amamich9812.html）
┃　　　大雪山....生物多様性条約に言及した準備書面。（nakij513.html）
┃　　　藤前自然の権利訴訟／訴状（fujimaesj.html）
┣期日一覧（kijitu.html)
┃　　　　各訴訟の次回期日がすぐ読めます。
┃　　　　同じページの後半に、過去の裁判記録があります。
┣NEWS(news.html)★現在位置★
┃　　　　新鮮な情報をお届けします。このページの情報は、NIFTY-Serveの
┃　　　　自然環境フォーラム（FENV）にUPしているものとほぼ同文です。
┣「奄美・現地検証を成功させるぞ通信」（amamikennsho.html）
┣関連団体・資料(NGO&material)
┃┣［自然の権利］セミナー　活動概要と次回案内（seminar.html）
┃┣「自然の権利」基金　活動概要（kikin.html）
┃┃　　　　　　　　　　　　　　　　┗入会申込書（mailk.html）
┃┣『報告　日本における［自然の権利］運動』
┃┃　　目次・概要説明（houkokusho.html）
┃┃　　　　　　　　　　　┗オンライン注文の説明（chumon.html）
┃┃　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┗注文書（mailh.html）
┃┗日本環境法律家連盟（JELF）（jelf.html）
┃　　　　　┗ニュースレター購読申込書（mailj.html）
┣リンク集(link.html)　
┗このホームページ製作者の自己紹介(junko.html),(nomiti.html)