はじめに

はじめに

　奄美「自然の権利」訴訟は、周知のように、2001年の１月22日に判決が下された。
　提訴からこの日まで、私は、裁判所の傍聴席や「作楽」の店内などにあらわれては、この裁判を追い続けた。もちろんこれは、「自然の権利」訴訟の中味、そしてこの裁判に関係している人々が、一体どのようなことを考えているのかを知りたいがためであった。
　とはいえ私が、この裁判に関係している人々に十分な説明責任をはたしてきたかどうかということについては、正直言って心許ない。さらに私自身、多くの人々の苦闘する姿や、多くの人々のこころやさしきふるまいにふれて、「いったいこの場に何しに来ているのだ」と自問自答することも多々あった。
　そして現在、私は、この歴史的な裁判について、「見聞きしてきたことをもとに論文を作成する」ということより先に、見聞きしてきたことを一つの資料として残しておくことがまず必要ではないか、と考えるようになっている。
　この裁判報告は、その最初のひとつとして、これがこの裁判に関係している人々への、応答責任のひとつをはたしたことになるのであればと思いながら、作成したものである。

　凡例
１、この裁判報告は、基本的に、私（渡邊）が裁判を傍聴した際、及びその前後などにおいて、裁判に関係している人々の言動を見聞きした後にとったノートにもとづき、作成されている。ただし、その一部については、準備書面などの資料によって補った箇所がある。
２、カッコ「」内は、基本的に、ノートに記されている発言、または資料の引用である。ただし、私（渡邊）が自らの表現において、強調あるいは含みをもたせるために、このカッコ「」を用いている場合がある。なお、このカッコ「」内で（渡邊の）説明が必要になった場合は、カッコ〈〉に入れて当該箇所に挿入してある。なお、発言内の「…」という表現は、そこに省略があったことを示している。
３、現時点でそれぞれの報告に付け加えることがある場合、「付記」として、報告末尾に書き加えてある。
４、人名・固有名については、原告・弁護団など、既に法廷などの場でそれをあきらかにしている場合を除き、原則匿名にしてある。
５、裁判官の異動については、煩雑になるので、以下にまとめておいた（敬称略）。氏名・記載順序は法廷にある掲示板の通りで、二番目に記載の人が裁判長から見て右側に座る。ただし、「進行協議」の場合など、一部掲示板を見ていないものや、「顔で確認」したものがある。「〃」は前回の法廷又は「進行協議」と同じ人を意味する。なお、名字しかわからない場合は、それのみを記してある。

　　　　95年７月３日　95年10月９日　96年１月22日　96年４月22日　
裁判長　簑田孝行　　　〃　　　　　　　〃　　　　　　　〃
裁判官　久留島群一　　〃　　　　　　　〃　　　　　　　西郷
裁判官　野田恵司　　　〃　　　　　　　〃　　　　　　　〃

　　　　96年７月22日　96年10月21日　97年１月27日　97年４月14日　
裁判長　〃　　　　　　〃　　　　　　　〃　　　　　　　〃
裁判官　〃　　　　　　〃　　　　　　　〃　　　　　　　山本（由）
裁判官　〃　　　　　　〃　　　　　　　〃　　　　　　　冨田

　　　　97年７月14日　97年10月６日　98年１月26日　98年３月30日　
裁判長　〃　　　　　　〃　　　　　　　〃　　　　　　　〃
裁判官　〃　　　　　　〃　　　　　　　〃　　　　　　　〃
裁判官　〃　　　　　　〃　　　　　　　〃　　　　　　　〃

　　　　98年７月13日　98年10月12日　98年11月24日　98年12月21日　
裁判長　榎下　　　　　〃　　　　　　　〃　　　　　　　〃
裁判官　〃　　　　　　〃　　　　　　　〃　　　　　　　未確認
裁判官　〃　　　　　　〃　　　　　　　〃　　　　　　　〃

　　　　99年３月２日　　　　　99年４月23日　99年７月13日　99年9月13日　
裁判長　榎下（掲示板未確認）　　榎下　　　　　〃　　　　　　〃
裁判官　掲示板未確認　　　　　　欠席？　　　　氏名不詳　　　牧（真）
裁判官　冨田（掲示板未確認）　　冨田　　　　　〃　　　　　　〃

　　　　99年10月18日　99年11月８日　99年12月20日　01年１月22日　
裁判長　〃　　　　　　　〃　　　　　　　〃　　　　　　　〃　
裁判官　〃　　　　　　　〃　　　　　　　〃　　　　　　　小川
裁判官　〃　　　　　　　〃　　　　　　　〃　　　　　　　横田